2026年7月27日月曜日

【2026年7月27日~】今週の株式市場にそなえる記事

結論: 2026年7月27日週の日本株は、2025年末比でなお大幅な上昇を保っている一方、短期ではすでに調整局面に入っています。日経平均は7月24日に6万4611円15銭で終了し、2025年末比では約28.4%高ですが、6月25日の最高終値7万2366円34銭からは約10.7%下落しています。

国内市場の最大の焦点は、7月30~31日の日銀金融政策決定会合です。 政策判断と展望レポートは31日に公表予定ですが、その前にFOMC、米国GDP・PCE、国内外の大型企業決算が集中します。今週は日銀だけを見ていればよい週ではありません。

  • 株価: 日経平均は7月24日に前日比2.73%安の64,611.15円。TOPIXは1.05%安の4,011.31でした。
  • 市場の偏り: 日経平均の「技術」セクターは7月24日の下落に約1,572円分寄与しました。AI・半導体関連の値がさ株が動くと、TOPIX以上に日経平均が振れやすい状態です。
  • 為替: ドル円は7月24日に一時1ドル=163.96円まで円安が進み、1986年11月以来の水準となりました。
  • 金利: 新発10年国債利回りは7月下旬に2.8%近辺で推移し、多年ぶりの高水準が続いています。
  • 原油: 7月24日のブレント原油は96.78ドル。前日まで100ドルを上回る場面があり、週間では約10%上昇しました。

確認日は2026年7月27日で、東京市場の寄り付き前です。市場価格は原則として7月24日の終値または同日までに確認できた値を使用しています。国債利回りはデータ提供元によって終値や対象銘柄の定義が異なるため、本文では7月下旬の水準を約2.8%として扱います。

日本株の現在地

指標 直近値 変化・比較 見るべき点
日経平均 64,611.15円 7月24日-2.73%、2025年末比約+28.4% 最高終値からは約10.7%下。短期的には調整局面
TOPIX 4,011.31 7月24日-1.05%、2025年末比約+17.7% 7月24日は日経平均より下落率が小さかった
日経平均の評価指標 加重平均PER 17.82倍、PBR 1.88倍 7月24日 単独で割高・割安とは決められないが、今後の利益見通しへの依存度は高い
ドル円 一時163.96円 1986年11月以来の円安水準 外貨建て利益には追い風となる一方、輸入コストと介入警戒が強まる
日本10年国債利回り 約2.8% 7月下旬の水準 銀行収益にはプラス要因がある一方、高PER株や借入負担の大きい企業には逆風
ブレント原油 96.78ドル 7月24日は反落、週間では約10%上昇 輸送、電力、素材、食品など幅広い業種のコストに波及

日経平均は2025年末の50,339.48円から約28.4%上昇しています。ただ、6月25日に付けた最高終値72,366.34円からは約10.7%下落しました。7月17日にはロイターも、最高終値から10%を超えて下落したことで「調整局面」に入ったと報じています。

それでも、日経平均だけを見て日本株全体が同じ程度に崩れていると考えるのは早計です。7月24日は日経平均が2.73%下げたのに対し、TOPIXの下落は1.05%でした。

日経平均は株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きい「株価平均型」の指数です。7月24日時点ではアドバンテストが約10.8%、東京エレクトロンが約9.8%のウェートを占め、日経の「技術」セクター全体では56%を超えています。同日の技術セクターによる下落寄与は約1,572円に達しました。半導体株の値動きが、そのまま日本株全体の値動きに見えやすい点には注意が必要です。

日本株を支える材料

1.国内経済は1~3月期にプラス成長

内閣府の2026年1~3月期GDP2次速報では、実質GDPは前期比0.5%増でした。少なくとも同四半期について、日本経済はマイナス成長ではありません。

6月の全国消費者物価指数では、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比1.6%上昇しました。日銀が掲げる2%の「物価安定の目標」を単月の指数だけで判断することはできませんが、この指数は5カ月連続で2%を下回っています。

ただし、ここから先は事情が変わります。163円台まで進んだ円安と100ドル近辺まで上昇した原油の影響は、6月までの物価統計には十分反映されていません。過去数カ月の物価鈍化と、今後の輸入インフレは分けて考える必要があります。

2.政府は17の戦略分野で官民投資を進める

政府は7月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2026」と「日本成長戦略」を閣議決定しました。同日には、戦略17分野の主要な製品・技術を対象とした官民投資ロードマップも決定されています。

半導体・AI、デジタル、エネルギー、安全保障、インフラなどに関わる企業にとっては、中長期の受注や設備投資を考える材料になります。一方、骨太方針2026は「責任ある積極財政」を掲げています。財政支出への期待が株価を押し上げる場面がある一方、国債需給や財政への警戒から長期金利が上がれば、株式の評価には逆方向から圧力がかかります。

政府支出が増えるから日本株全体が上がる、という単純な話ではありません。どの分野に資金が向かい、その投資から実際に利益を取れる企業はどこかという選別の材料です。

3.コーポレートガバナンス・コードが改訂

金融庁と東京証券取引所は7月21日、コーポレートガバナンス・コードの2026年改訂版を公表しました。東京証券取引所は同日、改訂に伴う上場規程の変更を施行しています。

今回の改訂では、成長投資の促進や取締役会の機能強化が前面に出ています。日本企業に対しては、現金を持っているだけではなく、その資本を何に使い、どの程度の収益を生んだのかを説明する圧力が一段強まります。

配当や自社株買いは株主還元として評価できますが、それだけで利益成長を置き換えることはできません。これからは設備投資やM&Aが売上高、利益率、キャッシュフローにどうつながったかまで見る必要があります。

現在の四つのリスク

1.円安と為替介入

ドル円は7月24日に一時163.96円まで円安が進み、1986年11月以来の水準となりました。片山さつき財務相は同日、為替市場について必要であれば「断固たる措置」を取る姿勢を示しています。

円安は外貨で稼ぐ企業の円換算利益を押し上げますが、その効果は企業ごとに異なります。海外生産比率、為替予約、輸入部材の割合によっては、円安がそのまま増益になるわけではありません。

今回は原油高も重なっています。エネルギー、食料、原材料の輸入価格が上がるため、価格転嫁の難しい内需企業には直接的な負担です。反対に、実際の円買い介入などで為替が急反転すれば、円安を織り込んで買われた輸出株では利益確定売りが出やすくなります。

2.日銀の追加利上げと長期金利

日銀は6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げました。ロイターが7月13~21日に実施した調査では、87人中83人が7~9月期中の据え置きを予想する一方、75人が年末までに1.25%へ引き上げられると予想しています。

したがって、7月31日に利上げするかどうかだけを見ると材料を取りこぼします。展望レポートで成長率と物価見通しをどう修正するのか、円安と原油高をどこまで物価上振れリスクとして扱うのか、植田総裁が次回以降の追加利上げについてどこまで踏み込むのかが焦点になります。

金利上昇は銀行の貸出利ざやを広げる要因になりますが、預金金利の上昇や保有債券の価格下落もあるため、銀行株なら一律にプラスというわけではありません。不動産、高PERの成長株、借入負担の大きい企業には、より直接的な逆風になります。

3.中東情勢と原油高

7月24日のブレント原油は96.78ドルへ反落しましたが、週間では約10%上昇しました。前日には100ドルを超え、ホルムズ海峡と紅海をめぐる輸送リスクが引き続き価格へ影響しています。

日本にとって原油高は、資源株だけの話ではありません。輸入額が増えれば貿易収支を悪化させ、円安と組み合わさることで企業コストや家計負担も増えます。さらに物価が再加速すれば、日銀の追加利上げ観測にもつながります。

原油が100ドル前後に定着するのか、それとも地政学的な緊張の緩和で反落するのか。今週は株価と一緒に確認しておきたい数字です。

4.AI投資への評価が厳しくなっている

米国市場では7月23日、AlphabetとTeslaの決算を受け、巨額のAI関連投資をどの程度の収益につなげられるのかが改めて問題になりました。NASDAQ総合指数は同日2%を超えて下落し、その流れが翌日の日本の半導体関連株にも波及しました。

AI需要そのものがなくなったという話ではありません。市場が見ているのは、設備投資を増やした分だけ将来の利益とキャッシュフローを増やせるのかです。

今週はMicrosoft、Meta、Amazonのほか、日本では日経平均への寄与度が最も大きいアドバンテストが決算を発表します。AI向け需要の強さだけでなく、設備投資額、受注、利益率、通期見通しまで含めて評価される週になります。

業種別に見る追い風と逆風

業種群 追い風 主なリスク 今週の確認点
半導体・AI AI向け需要、政府の成長投資 高い利益期待、巨額投資の回収への警戒 アドバンテスト、Microsoft、Meta、Amazonの需要・投資見通し
銀行・保険 政策金利と長期金利の上昇 急な金利上昇、預金調達コスト、保有債券価格の下落 日銀の追加利上げ姿勢と10年国債利回り
自動車・機械など輸出株 円安による外貨建て利益の円換算増 円の急反発、原材料高、海外需要の鈍化 ドル円と各社の想定為替レート
小売・食品・運輸 賃金上昇と国内消費 燃料、食料、物流費の上昇 原油価格、消費者心理、価格転嫁の進み方
資源・エネルギー 原油・資源価格の上昇 中東情勢の緊張緩和による資源価格の反落 ホルムズ海峡・紅海の輸送状況とブレント原油
防衛・インフラ 政府の戦略投資、安全保障・インフラ投資 政策期待の先行、受注から利益計上までの時間差 具体的な予算、受注、利益率

今週の重要イベント

以下は2026年7月27日から31日までの主な予定です。時刻は日本時間です。米国のイベントは夏時間を反映しています。

日時(JST) イベント 見る理由 確認点
7月27日(月)8:50 日銀・6月企業向けサービス価格指数 サービス価格へのコスト転嫁を確認 前年比の伸びと人件費関連の動き
7月27日(月)14:00 5月景気動向指数・改訂値 国内景気の足元を確認 一致指数と基調判断
7月27日(月)21:30 米国6月耐久財受注 米製造業と設備投資の先行材料 輸送機器を除いた受注の動き
7月28日(火)14:00 日銀・消費者物価のコア指標 日銀会合直前の物価基調を確認 刈込平均値などの加速・鈍化
7月29日(水)15:30 アドバンテスト 2026年度第1四半期決算 日経平均への寄与度が大きく、AI半導体需要の判断材料になる 受注、AI向け需要、利益率、通期見通し
7月29日(水)17:00 日立製作所 第1四半期決算説明会 IT、電力網、鉄道など広い設備投資分野の動きを確認 受注、利益率、通期計画
7月30日(木)3:00/3:30 FOMC結果/FRB議長記者会見 米金利、ドル円、世界の成長株評価に直結 政策金利、インフレ認識、今後の政策変更への示唆
7月30日(木)5:30 Meta 第2四半期決算説明会 広告収入とAI投資の採算を確認 広告成長、設備投資、AI関連費用、キャッシュフロー
7月30日(木)6:30 Microsoft 2026年度第4四半期決算説明会 クラウドとAI投資の需要・採算を見る中心企業 Azure、AI関連売上、設備投資、利益率
7月30日(木)14:00 7月消費動向調査 円安と物価高が家計心理へ及ぼす影響を確認 消費者態度指数と物価見通し
7月30日(木)21:30 米国4~6月期GDP速報・6月PCE 景気とインフレを同時に確認できる週内最大級の米統計 実質GDP、個人消費、コアPCE
7月31日(金)6:00 Apple・Amazon決算説明会 電子部品、クラウド、物流関連へ波及しやすい 端末需要、AWS、AI投資、利益率
7月31日(金)8:30 日本6月労働力調査 国内雇用の強さを確認 完全失業率、就業者数
7月31日(金)8:50 日本6月鉱工業生産速報 製造業の実勢を確認 生産実績と7~8月の生産予測
7月31日(金)時刻未定 日銀金融政策決定会合・展望レポート 日本株、円、国債を同時に動かし得る国内最大のイベント 政策金利、成長・物価見通し、円安と追加利上げへの認識
7月31日(金)15:30 日銀総裁記者会見 声明文だけでは分からない今後の利上げ条件が焦点 追加利上げの時期、円安、物価、長期金利への見解
7月31日(金)21:30 米国4~6月期雇用コスト指数 賃金インフレの粘着性を確認 前期比の加速・鈍化

今週を読む三つのシナリオ

上向きのシナリオ

中東情勢がさらに悪化せず原油が落ち着く。FOMCと日銀も市場予想を大きく上回る引き締め姿勢を示さない。さらにアドバンテストや米大型テクノロジー企業がAI向け需要の強さと投資採算への見通しを示す。この組み合わせなら、6月高値から大きく調整した半導体株を中心に買い戻しが入り、日経平均がTOPIX以上に戻す展開が考えられます。

方向感が出にくいシナリオ

日米とも政策金利を据え置く一方、今後の追加利上げ余地は残す。決算も企業ごとに強弱が分かれ、原油と円相場も高い水準のまま大きくは動かない。この場合、指数は方向を出しにくく、銀行、資源、半導体、内需の間で資金が移動する相場になりやすくなります。

下向きのシナリオ

原油が再び100ドルを明確に超え、円安がさらに進み、米国PCEも強い。日米双方で追加利上げ観測が高まり、そこへ大型テクノロジー企業のAI投資負担への警戒が重なるケースです。金利上昇と利益見通しの悪化が同時に起きれば、半導体だけでなく幅広い業種へ売りが広がる可能性があります。

逆に、日銀が予想以上に慎重なら必ず株高になるとも限りません。利上げ観測が後退して円安が加速すれば、輸入インフレ、為替介入、長期金利上昇への警戒が再び強まります。今の日本市場では「金融緩和寄りだから株高」という従来の関係が、そのまま成立しない場面があります。

今週確認したい五つの数字

  1. 日経平均とTOPIXの相対差: 半導体など一部の値がさ株だけが弱いのか、売りが市場全体へ広がるのか。
  2. ドル円の164円近辺: 1986年以来の円安圏からさらに進むのか、政府発言や介入警戒で反転するのか。
  3. 日本10年国債利回り: 2.8%近辺で落ち着くのか、日銀会合を前後して再び上昇するのか。
  4. ブレント原油の100ドル: 100ドルが上値になるのか、再び突破して輸入インフレへの警戒が強まるのか。
  5. AI投資とキャッシュフロー: AI関連企業の受注や売上高だけでなく、設備投資額、利益率、フリーキャッシュフローがどう動くのか。

まとめ

2026年7月27日時点の日経平均は、2025年末より約28%高い一方、6月25日の最高終値からは約11%下にあります。「年初から強い」と「足元では調整している」は同時に成立しています。

しかも、現在の下落は日本株全体で均一ではありません。7月24日は日経平均が2.73%下げたのに対しTOPIXは1.05%安にとどまり、日経平均では技術株だけで約1,572円の下落寄与がありました。指数を見るときは、その数字を動かしている銘柄まで確認した方が実態をつかみやすい局面です。

今週は7月30~31日の日銀会合に加え、FOMC、米GDP・PCE、アドバンテスト、Microsoft、Meta、Apple、Amazonなどの決算が続きます。そこへ163円台のドル円、2.8%近辺の長期金利、100ドル近辺の原油が絡みます。週末の日銀結果だけではなく、そこへ至るまでに為替、金利、原油、AI関連企業の利益見通しがどう変化するかを追う一週間です。

情報源